あるノルウェーの大工の日記
あるノルウェーの大工の日記
仕事を始めた最初の頃、九州の職人さんは気難しい人が多いからという理由と現場でもめるのを避けるために、打合わせは現場監督と直接するように上司に教えられました。経験が少ないうえ、私ができる・できないといった理由をしつこく聞きたがるので、監督さんにはたぶん鬱陶しがられていたことと思います。
同じ仕事でも場所が変われば随分と様子が変わるもので、京都に移り住んで仕事をしていると職人さんとの距離の近さを感じます。関西人特有の人なつっこさでしょうか。一聞けば、十返ってくる、京都の現場で、職人さんたちと直接話をするのは大変勉強になります。自分の仕事をきちんと語れるというのは、それだけ考えて仕事をしているということ。こちらの無理難題にも「できません」なんて簡単には言わない訳ですよ。ちょっと単純かもしれませんが、そういう職人魂みたいなものに、出来上がりを見る前から拍手を送りたくなるのです。自分がリスペクトされる前に、相手をリスペクトすること、良い仕事は良いコミュニケーションにあるといいます。
昨年はお寺の改修をしたこともあって、多くの職人さんたちと話をした一年でした。今年もまた、いろんな人と出会って拍手を送り続けたいものです。
あるノルウェーの大工の日記
ノルウェーで働く大工さんが屋根裏の改築過程を綴った日記。ノルウェーでベストセラーになって、世界各国で翻訳された話題のエッセイ。国を超えたクラフトマンシップ、日本人とよく似たノルウェー人の素朴な仕事姿勢にちょっと嬉しくなります。
(京都府建築士会 京都だより2018年1月号掲載)