沖縄 のこしたい店 忘れられない味
沖縄 のこしたい店 忘れられない味
今年の正月は沖縄で過ごしました。毎年、何の迷いもなく自宅や実家で正月を過ごしていましたが、キンキンに冷え切った京都を飛び出して、いざ南国の地へ。
ひとことで言えば快適そのもの。頬を切るような寒さもなく、手足がかじかむこともなく、かさばるコートを着なくてもいい。初めて過ごす、ゆるくて暖かい冬。日本人がこぞって正月にハワイに行く理由、初めて納得しました。
ちなみに沖縄には3つの正月があるそうで、新暦の正月、旧暦の正月、そしてあの世の正月と呼ばれるジュウルクニチー(十六日祭)。宮古島や八重山地方にこの風習が色濃く残るのだそうですが、亡くなってから1年以内の人がいる家庭は例外。新暦の正月や旧正月は質素に行い、このジュウルクニチーを「ミージュウルクニチー(新十六日祭)」、あるいは「ミーサー(新霊)」と呼び、お墓参りをして霊をなぐさめるそうです。
車で走っているとポーチがあるような立派なお墓をたくさんみかけました。沖縄の墓参りは、墓前で親族一同が集まって、お供え物を分け合い食べる風習があるそうですが、お正月にそういう行事をするんですね。真冬の京都では考えられないけれども、この気候だからできる風習なのだと思いました。
名護市の市庁舎や重要文化財の中村家を見学し、本部町にある「きしもと食堂」で沖縄そばを堪能し、ステーキハウス88で夜中に無理やりステーキを食べ、すっかり沖縄を満喫。
建築といい、食べ物といい、風習といい、日本ではあるけど、アジアのどこにも属さない沖縄独特の力強い風土を感じることができました。
沖縄 のこしたい店 忘れられない味
沖縄旅行の発起人が行きたい店リストを「旅のしおり」と称して、送ってきたのですが、そのリストのなかに載っていたのが、この本の冒頭にでてくる「きしもと食堂」。本部町というかなり辺鄙な場所に長蛇の列。出汁が美味しくて飲み干してしまった。
一時間待った甲斐は十分あったと思います。
(京都府建築士会 京都だより2018年3月号掲載)