城のつくり方図典 改訂新版
一国一城の主。
日常的には、ほとんど使わない言葉だが、その響には憧れてしまう。
主人が取り仕切り、みんなを守る、そして頼りにされているイメージ。やはり憧れる。
大喜書店の店主であり、家庭もある私は形式的には、その主のはずである。
しかし実態は主にはほど遠い。まあ、だからこそ憧れるのであろう。
そんな私だからか、「城(実際の日本国内の城)」を見るとむしょうにテンションが上がる。権力の象徴のような威厳のあるデザインでかつ機能的でいて美しく、いろいろなトラップや仕掛けがあり、築城当時の最高の技術者たちが命懸けで造り、歴史的価値もあり、城を取り囲むランドスケープもすばらしい。
コルビュジェやバラガンの建築を見ても、すべての人が美しいとは感じないかもしれないが、城は誰が見ても、美しく、力強く、威厳があるように綿密に計算しデザインされている。先人の努力には本当に感嘆する。
今月はその城に関する本をご紹介。
「城のつくり方図典 改訂新版」(三浦正幸 著)
まさか今から城をつくる人はまずいないだろうが、とにかく、城のつくり方が書かれた本で「城地を定める」から始まり「石垣を築く」「天主を上げる」などに続き最後は「街道と港をつくる」で締められおり「つくり方」である体をくずしていないところが面白い。内容は城郭史研究第一人者による最新の城図典で、多くのイラストと写真が含まれており城好きには、絶対おすすめの一冊。