ニッポンの台所道具と手入れ術 受け継がれる職人・作家の手仕事
一日二食の生活に変えてから、昼ご飯に何を食べるかとても気にするようになりました。
本当はお弁当が一番良いのですが、プラスチックの容器がどうも好きになれなくて考えあぐねていたところ、たまたま見かけた曲げわっぱのお弁当に魅せられて、思い切って買うことにしました。
少し値は張るし、毎日作るわけでもないのですが、テンションも上がるし、道具ひとつで手間をかけることがちょっと楽しくなります。
先日、一日缶詰状態の講習会があったので、早速作ったお弁当を食べていたら、たまたま同席した男性が「曲げわっぱ、珍しいですね」と声をかけてくださいました。見ると彼も曲げわっぱ。ただし、彼のお弁当箱はもっと年季が入っていて、林業を営むお祖父さん、お父さんと三代で使っている代物。「どうやったらそんなに長持ちするのですか。」と聞くと「良く乾かすこと。ちゃんと手入れしたらまだまだ使えますよ。」
日本の伝統工芸品は、手入れをきちんとすることで、耐用年数を限りなく伸ばし、時間を経ることで味わい深いものとなっていきます。新旧の曲げわっぱを囲んで話しながら、自分がつくる建築のことをふとを考えました。手間暇かけて作るプロセスをきちんとクライアントに伝えて、使いこなしてもらっているのか。
薄墨色になった彼の弁当箱はヴィンテージ品のようにとても堂々として貫禄があり、私の曲げわっぱは、ピカピカの新参者でまだまだ修行が足りない感じです。
ニッポンの台所道具と手入れ術
受け継がれる職人・作家の手仕事
美しい伝統工芸品の紹介本というのはたくさんあるのですが、メンテナンスについて詳しく書いている本は珍しいと思います。
こういう建築本も必要ですよね。