子育てをしながら建築を仕事にする
子育てをしながら建築を仕事にする
本の解説などあまりしないのが、このコーナーですが、今回は、学芸出版から数年前に出版された「子育てをしながら建築を仕事にする」について、ご紹介がてら、書きたいと思います。
建築を学ぶ女子学生から、「建築の仕事をしながら、子供を育てる将来が想像できない。」という相談を受けたことが、編者の本をつくるきっかけになったのだそうです。私も、学生時代に同じことを考えたことを思い出します。三十年前には、確かにそういう不安があって、私の大学の同期の女性たちも、結婚してあっさり仕事を辞めて、家庭に入ってしまった人がたくさんいました。優秀な人材なのに、勿体ないなと思ったものです。
少子化が社会問題となり、イクメンたちが出てきて、社会の雰囲気は少し変わったとはいえ、いまだに、私たちの業界はそういう不安がつきまとっています。将来的には、優秀な人材が残らずに、人手不足に頭を悩ませるだけなのに…。なるべく早めに、古い業界の体質を変えて、何か良いアイデアを出し合う必要がありそうです。
この本の中には、子育てをしながら建築を仕事にするために、背中を押した家族や仲間、そしてそれを支援してくれた素敵なボスの話もたくさん出てきます。
働き方を見つめなおすという意味でも、設計事務所の親方たちに、是非、読んでいただきたい本です。
(京都府建築士会 京都だより2022年12月号掲載)
子育てをしながら建築を仕事にする
ゼネコン、アトリエ、組織事務所、ハウスメーカー、個人事務所等、異なる立場で子育て中の現役男女各八名の体験談。建築業界で働き続けることに不安を持つ学生、若手実務者とその上司におくる、リアルな将来像を描くためのエッセイ集。