一日一花
確か去年の十月、U谷氏から「京都の書店の最終回原稿をお願いします。」と言われて原稿を渡したのも束の間、今度は「大喜書店で一年間の連載してください。」とのこと。
私たちの拙い文章で大変恐縮ですが、また書かせていただくことになりましたので、一年間お付き合いいただけたらと思います。
初回はお正月ということで、「一年の計」についてお話ししようと思います。
小学校時代、学校の先生をしていた祖母に、「一年の計」と称して書初めを書かせられました。最初は分不相応な高い目標を設定するわけですが、後半になると「早寝早起」といった生活レベル向上のための現実的なものとなり、大人になった今では「一年の計」を立てる間もなく、毎年あっという間に過ぎる日々が続いています。
あのころ掲げた高い目標を着実に達成していたら、今と同じだったのかそれとも違う人生だったのか、私だけでなく誰しもが思うことかもしれません。
川瀬敏郎さんの「一日一花」は震災後、川瀬さんが毎日三百六十六日花を活け続けた記録をつづったものです。凛とした花の姿とそれに添えられた言葉を読んでいると、雑な暮らしを改めて、もう少し丁寧に暮らすことを考えさせてくれます。
今更できない目標を、年始早々から立てる気は毛頭ありませんが、過ぎた日々を年末に悔いるのではなく、「毎日元旦」そんな心持ちで今年は過ごせたらと思っています。