広告 vol.416 特集:虚実/
広告 vol.416 特集:虚実/
京都に住み始めた頃、建築以外の仕事にも興味が沸いてしまって、「京都広告塾」に通っていたことがあります。コピーライターの神様と称された仲畑貴志氏が校長だったこの私塾は、広告代理店や某ゲーム会社の社員などが通う、業界ではちょっと有名な塾でした。広告業界の一線で活躍する講師陣から、毎回、大喜利のような宿題が出て、コピーライターになる気などまったくないのに、毎回、真面目に宿題をやっていたのを懐かしく思い出します。
クリエイティブディレクターやアートディレクターという仕事の内容や、コピーやCMが出来上がっていく過程を知ることは、建築をやる上で、良いブレーンストーミングになったと思います。建築と広告はよく似ているなと感じましたし、建築以外のものができあがっていくプロセスは、自分たちのものづくりへの気づきにもなったような気がします。
そういうわけで、うちの書店には、広告やアートデザインに関する本が多いのですが、建築雑誌以外は基本的には置かないうちの書店が、唯一置いている雑誌、「広告」は、二〇一九年から、クリエイティブディレクターの小野直紀氏が編集長となって、不定期に発刊されている広告関係の雑誌です。特集内容といい、本の装丁デザインが毎回凝っていて、私も楽しみにしている本。手前みそですが、普通の書店ではあまり置いていないので、是非うちでご覧ください。
(京都府建築士会 京都だより2022年7月号掲載)
広告 vol.416 特集:虚実/
「いいものをつくる、とは何か?」を全体テーマに捉えて、この問いを思索する「視点のカタログ」として不定期に発刊。今回のテーマは「虚実」