地方創生は古い建築物を見直せ
地方創生は古い建築物を見直せ
随分前の話ではありますが、以前勤めていた福岡の事務所から、古い建物を所有している方から今後の活用などを含めて、提案して欲しいと言われているので、手伝ってもらえないかという依頼がありました。その建物は、福岡の戦火を耐えた古い木造の住宅で、登録有形文化財として十分に残せるものと判断しましたが、個人住宅の登録有形文化財がまだまだ少なかった福岡では、京都のようにうまくことが進まず、建物はレストランとして残ったものの、今後継続して残せるか少し疑問が残る終わり方をして、反省したことがあります。
京都では、町家の再生や継承を官民一体となって取り組むことにより、京都の街並みの保全や文化と社会性、経済性などと抱き合わせて、人を呼び込むことができる要素となることが実証されています。しかし、それ以外の地方都市では、古い建築物を残す際、建物の歴史的価値が軽視されたり、経済性であっさりと語られてしまうことが多いのも実情です。
「建築基準法以前に建った住宅はみんな町家」
この話を県外の人にすると、みなさん大層、関心されて驚かれます。残すこと前提に、京都が町家をそう定義づけたことは、改めて画期的に思いますし、すでに日本もヨーロッパのような改修の時代が到来しているのかもしれません。
(京都府建築士会 京都だより2022年6月号掲載)
地方創生は古い建築物を見直せ
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