モダン建築の京都100
モダン建築の京都100
京都市京セラ美術館の展覧会に合わせた雑誌の企画で、モダン建築ディテール探訪というコーナーのガイドをつとめました。いつも自由に一つの建築をじっくり見て回る習慣の人間としては、五つの建築を仕事の合間をぬって、二日間の予定で詰め込み、駆け足で回るというのは、なかなかタフな経験。とはいえ、普段はあまりお目にかかれない、京都の近代建築をライターさんと二人で堪能させていただいて、コロナ禍の中、わざわざ見せていただけたのは、幸運だったなと思います。六月の猛暑とはいえ、汗だくになったかいはありました。
さて、今回の展覧会に合わせて、一〇〇の建築がピックアップされ、その中から私が選ばせてもらったのは、栗原邸や本野精吾邸、堀川団地など住宅ディテールをテーマにしたモダン建築。新島旧邸は、今回初めて訪れましたが、素直に感動してしまいました。明治時代は日本人がまだ洋服を着こなせていない時代で、建築もそれと同じ印象を受けることが多いのですが、新島旧邸は、背伸びした感じではなく、日本人の暮らしに西洋の合理的な考えをうまく取り入れて、自分たちのスタイルをきちんとつくっている、そんな印象を受けました。展示鑑賞と同時に、建物探訪や街歩きも体験できる展覧会。この期間中に公開されるところもあるようです。コロナの秋、ぜひみなさん京都の近代建築散策をお楽しみください。
(京都府建築士会 京都だより2021年11月号掲載)
モダン建築の京都100
京都市京セラ美術館で九月二五日から十二月二十六日まで開催の「モダン建築の京都」の図録。設計した建築家だけでなく、クライアントにも焦点を当てた内容で、京都の近代化の様子や背景が良くわかります。