土壁と杮 妙喜庵 待庵 書院及び茶室待庵保存修理の写真記録
土壁と杮 妙喜庵 待庵 書院及び茶室待庵保存修理の写真記録
書店をやっていると、「本を置いてください。」と頼まれることがあります。
美術家の尹煕倉氏の作品集「Sand River Work-Setouchi」も、デザインを担当した木村さんが、直接店に持ってこられました。堀部安嗣が設計した客船guntúのために描いた作品であることや、瀬戸内海が浮かび上がるような、美しいデザインに魅せられて置いたところ、珍しさもあってか、すぐに完売。
そんな彼からまた連絡がありまして、新しい本ができたので置いて欲しいと…妙喜庵待庵の書院と茶室の保存修理の写真記録の本ができたとのこと。「土壁と杮」というタイトルのその本は、本の背を糸でかがって製本されていました。糸綴じ製本といって、丈夫で長持ちするため、昔は百科事典などで使われていた製本技術で、最近の本ではあまり見かけなくなった製本スタイルです。
待庵の修復の本が、長期間保存できるような凝った製本になっていることや土壁のような表紙に、デザイナーの深いこだわりを感じ、質感やディテールに対する私たちの本のセレクトの基準を見透かされているようで、なんかやられたなと思いつつ、本を置くことにしました。
彼が、今度はどんな本を作るのか、私たちのひそかな楽しみです
(京都府建築士会 京都だより2020年2月号掲載)
土壁と杮 妙喜庵 待庵 書院及び茶室待庵保存修理の写真記録
平成三十年六月に発生した大阪府北部地震の影響で、土壁の一部に亀裂が入ったことをきっかけに、二十三年ぶりとなる土壁と杮葺屋根の修復が行われました。本書はその修復の過程を、京都在住、国内外で活躍する写真家の田村尚子が丁寧に撮影した写真と、古川泰造による竣工写真で構成されています。五百部の限定販売の本となっています。