日本の住宅遺産 名作を済み継ぐ
日本の住宅遺産 名作を済み継ぐ
昨年末、友人の建築家のお誘いで、住宅の見学会を東京で行いました。吉村順三の荻窪の家や清家清の私の家といった名作住宅や、地元建築家の新作など、住宅好きには、たまらないてんこ盛りの企画だったのですが、その中でも特に印象的だったのが、最後の見学先であった「林寛治邸」。
「あんまり知られていないんだけど、いいんだよ。」と言われたその住宅は、イタリア留学から帰った林氏が吉村事務所に入って、「まずは自邸を建てて勉強する」といって、吉村順三に師事しながら建てた住宅です。師の系譜がしっかりと受け継がれたその住宅は、いたるところが気持ち良くて、いろいろな話を聞いていたら、ついつい時間も忘れて長居をしてしまいました。
市中の住宅の窓から見える景色の美しさや、築四十年経った今でも、ほぼオリジナルのまま住み継がれる家とは何なのか。新しい発見といろいろなことを考えさせられる見学会。良い住宅を見た後の、建築オタクの飲み会は、楽しい談義と次の見学先のことへと話が続いて行くのでした。
(京都府建築士会 京都だより2020年1月号掲載)
日本の住宅遺産 名作を済み継ぐ
スカイハウス、土浦亀城邸、ブルーボックスハウスなど、一九二一年から一九八〇年の間に建てられた二十六軒の住宅遺産と撮りおろし、継承の物語を綴った本。