ケの美
ケの美
いつも、本と関係があるような無いような、ほぼ無いことばかり書いているので、今回は最近仕入れた本の中で、ちょっと唸ってしまった本を紹介したいと思います。
この本は、隈研吾、皆川明、小山薫堂、石村由紀子といった、職業や生き方、価値観の違う十四人の人たちに、グラフィックデザイナーの佐藤卓氏が声をかけて、それぞれの「ケの美」とそれにまつわる文章を集めたものです。
私はこういう、個人の愛用品を見るのがとても好きです。人と成りが分かるだけでなく、その人個人の哲学みたいなものが、ひしひしと伝わって、そのこだわりが他人事なのに、なぜか嬉しく感じるからです。愛用品の数々を見ながら、彼らのケの美に共感する反面、ここにはあまり出てこない現代の「ハレ」の部分というのが、一体何なのか。ハレとケの堺はどこにあるのか。この世の中は、ほぼ「ケ」だらけなのではないか。
どこか深くて、いろいろなことを考えさせてくれる本にもなっています。
この中の文章で、しっくりきたのは、やはり隈研吾。ハレとケを軽妙に分かりやすく、素材を通して語っています。気になるかたは、是非、本を手に取ってみてはいかがでしょうか。
(京都府建築士会 京都だより2019年11月号掲載)
ケの美
オルビス三〇周年記念に開催された「ケの美」展をまとめたもの。佐藤卓さんといえば、ロッテのミントガムのパッケージデザインが印象的。日頃ガムなんて食べないのに、ついつい買ってしまいましたもの。消費を促すデザインが得意なグラフィックデザイナーです。