世界がうらやむニッポンの建築
世界がうらやむニッポンの建築
先日、二泊三日の研修会で、島根県の職員の方のお話を聞く機会がありました。土木部建築住宅課の山本さんという方で、営繕課にいたときに島根県の菊竹三部作(旧博物館、図書館、武道館)の耐震改修をご担当されたのがきっかけで、それらの建築の保存活用の活動に地味地に、そして楽しく取り組んでいらっしゃる方です。活動の詳しい内容は、「大建築 友の会」というキーワードで検索すると出てきますので、ご興味ありましたら是非ご覧ください。
島根県といえば、旅館の改修で、しばらく出雲に通っていたことがあります。仕事の合間に、出雲大社を参拝すると、決まってもうそのときすでに、立入禁止になっていた菊竹清訓の庁の舎を覗き見るのが恒例となっていました。壊されるらしいという話を聞いて、こういうモダニズム建築の「保存問題」の難しさ、消えてしまった建築への愛着などを考えて、少し感傷的な気持ちで、いつも覗いていました。
山本さんの保存活用の話は、たんたんとして静かなんですが、建築に対する半端ない熱量を感じました。こういう人の手で生き残った菊竹さんの建築は、なんて幸せなんだろう、山本さんみたいな人が一県に一人いたら、日本の公共建築の未来も、明るいのかもしれません。
建築好きの「愛のパワー」で、よみがえった菊竹建築を見に、また改めて島根に行ってみようかなと思います。
(京都府建築士会 京都だより2019年5月号掲載)
世界がうらやむニッポンの建築
この本を見て、行こうと思った建築は青森の「木村産業研究所」、東京の「原美術館」、「日生劇場」。丹下さんのカテドラルは、夏の朝行くのが人もいなくておすすめだそうです。