丸田の家
家らしい家
海南の豊かな自然に囲まれた風景の中にこの家はあります。遠くに見えるみかん畑、目の前に流れる加茂川…のどかな風景の中に山の稜線のような大きな屋根をかけたいと思いました。
住宅を設計していて屋根をかけてしまうのは、どうも習性のようです。
雨の多い日本では、屋根から伸びた軒や庇が外壁の汚れや窓からの雨水の吹き込みを軽減させ、夏の暑い日に陽を遮り、冬の寒い日には暖かい陽の光を取り込んでくれます。
「家は、家らしく」というのを心して設計していますが、永く使えて飽きのこない造形を追い求めるとどうしても屋根をかけるということに行き着くのかもしれません。
最近のクライアントさんの要望に平屋というキーワードが出てくるせいか、プランニングの際には1階で将来生活が簡潔できる要素をできるだけ盛り込むようにしています。
1F部分のボリュームが大きくなるのですが、ウォークインクロゼットなども階下にして寝室が将来作れるだけのスペースを確保しておくと喜ばれます。
大人の隠れ家
寝室などのプライベートな空間は寝るだけの部屋だけでなく、趣味の部屋や書斎、隠れ家的な要素を入れることが多くなってきました。
丸田の家では、ご主人のコミック本を収納するライブラリーを寝室に設けています。
狭い空間に気持ちのいい窓を設置して、周りの景色を取り込んだちょっとした秘密基地のような空間となっています。家の余白として、家族と過ごす時間以外の自分の居場所を作ることも住宅を楽しむ上で大切なことだと思います。