忘れられた日本

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文 岡田良子

 

忘れられた日本

「ブルーノ・タウト 幻の生駒山嶺小都市計画を追う」という講演会を聞きに行きました。私は全く知らなかったのですが、タウトが日本に滞在した期間中に、大阪電気軌道(今の近鉄)の依頼で生駒山頂にホテルや貸別荘群、展望台などの小都市を計画していたというもので、戦時中ということもあり、実現にはいたらなかったのですが、その計画の残痕のような配置計画が、今も生駒山頂に残っているという興味深い話でした。
この話を聞きながら、ふと黒澤明の幻の映画「達磨寺のドイツ人」を思い出しました。
黒澤明は助監督時代、自身のデビューのためにこのシナリオを一九四一年に書きますが、日中戦争のあおりで映画化されませんでした。ちなみに、当時の巨匠伊丹万作がこの脚本を読んで「将来は日本映画を背負う大立者になる」と評価した作品だったとか。
一九四三年に黒澤明は姿三四郎で華々しく監督デビューを果たします。
幻の都市計画と幻の映画。もし実現していたら、少し世の中違っていたかもしれないなと思いつつ、タウトの本を手に取ってみたくなりました。

忘れられた日本
ドイツの世界的建築家タウトが一九三三年から三年間、日本に滞在した際の見聞記。桂離宮、伊勢神宮、床の間とその裏側から日本の農家、心、禅、いかものといんちき、げてものからハイカラなどについて日本人の心象・季節感まで幅広く語った本。

(京都府建築士会 京都だより2018年6号掲載)

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DATA

著者:ブルーノ・タウト 篠田英雄翻訳

発行:中公文庫

定価:802円(税込)

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